START UP TEAM
プロジェクト IPPO
立ち上げ・運営チーム
どんな職に就くか、「就職」は社会へ踏み出す一歩目です。
当然そこがゴールではなく、社会人としての日々は二歩目、三歩目…何百、何千歩目へと続いていきます。
その途中では、次なるフィールドへ再び新たな一歩を歩み始めることがあります。新しい仕事、異動、転勤、転職…。自分から手を挙げて飛び込む一歩もあれば、予期せず始まる一歩もあるかもしれません。
2年前、アルプスアルパイン社内で「IPPO」が歩みをスタートしました。
「IPPO」とはどんなプロジェクトなのか、どうして誕生したのか、何を目指すのか。
企業人として、再び一歩を歩みだした「IPPO」立ち上げメンバーに話を聞いてみましょう。
START UP MEMBER
IPPO 立ち上げ
根本 義久
プロジェクトのサポートを行う責任者。活動継続に力を尽くす。立ち上げ時には、椅子や机作りを担当。ライフワークは地震予知活動。
大内田 健治
「IPPO」のアイデア発案者、プロジェクトのリーダーとして活動。自由な空間の実現と維持/向上に苦心中。趣味は天文観察や宇宙メダカの育成など。
保坂 吉信
「IPPO」の事務局として部長より任命、立ち上げから関わる。ほぼ全てのワークショップに参画。ゴルフ(ハンデ4)で競技の上位に入ることが目標。
下田 まりこ
「VISION2030」の策定メンバー。希望してIPPOの運営メンバーに。主にプロジェクトの旗振りや広報関係を担当。趣味はJazz演奏(Sax、ボーカル)。
安次嶺 勉成
「IPPO」の推進役として、立ち上げに尽力。苦労も多かったけど、その分今の賑わいをとてもうれしく思っている。
※担当表記・記事の内容は、取材当時の内容です。
ありそうで、なかった「自由にものをつくれる空間」
限られた予算、マンパワーのなか
「会社を変えたい!」の一心で歩き出す。
「IPPO」は、「新しいモノ/コトを創出する企業文化を創る」ための空間です。
会社の中期活動計画である「VISION 2030」推進活動の一環として、2020年に社内で開催された「未来アイデアコンテスト」に入賞したテーマから生まれ、アルプスアルパインのいわき事業所内に開設されました。
「VISION 2030」は、2030年に「会社のありたい姿」を構築していくプラン。そのためにはどんなことが必要かを社員1人ひとりが考え、実現していくことを目的に「未来アイデアコンテスト」を開催したのです。
「新しいガジェットに触れられる場所がほしい」
「自由に工作できる空間…自由工房をつくりたい」
応募のあったなかから、この2つのアイデアが融合して、「IPPO」となりました。
「IPPO」開設の目的は、その理念「新しいモノ/コトを創出する文化を創る」を実現すべく、社員が好きな時に自由にものづくりをしたり、アイデアを発信したりできる風土を醸成していくことです。IPPOには、それができるよう、3つのスペースが設けられています。
①自由工房:工具・部材を備え、アイデアをすぐ形にできるスペース
②IDEA BASE:最新のガジェットに触れ、アイデア研究ができるスペース
③YIT (Yoshima Institute of Technology):セミナーやワークショップを開催できる多目的スペース
当時社内では、自由に工具を使ったり工作したりできるような場所を持っている部署もありましたが、共有化されているわけではありませんでした。そうした場所がない部署は、外部へ加工を依頼していたのです。
アイデアを出したメンバーに加え、技術企画部門のメンバーがサポートに参加し、プロジェクトがスタート。いわき事業所内を見渡してみて、倉庫に使用しているスペースを発見。総務と交渉して、そこを使用できることになりました。改装のための見積もりを依頼すると、なんと3,000万円!プロジェクトにそんな予算はありません。
「なら、手づくりでやろう!」
昼休みや定時後の時間を使って、壁やベンチ、テーブルなどの多くをプロジェクトメンバーのDIYで製作しました。製作期間は2カ月。その間には、プロジェクトメンバー以外の社員も、DIYに協力してくれました。
どんなものができるのだろう…そんなワクワク気分が徐々に周囲へ広がっていったのです。
「~オフィススペースとは違ったオルタナティブな(もう一つの新しい)空間~」
できあがった空間は、「IPPO」とネーミングされます。
この名前には、「創造の最初の一歩をここから踏み出そう」という意味が込められています。
予算はありませんでしたが、立ち上げメンバーの熱意と一部メンバーや社員の期待を集めて、いわき事業所の片隅で「IPPO」は歩き始めました。
倉庫スペースを立ち上げメンバーで改装
壁はもちろん、机や椅子も自分たちで手づくり
スペースづくりに関わったメンバーと、協力してくれた社員の名前
できあがった「IPPO」
大内田
会社がやってみろと背中を押してくれたので、自分の仕事もきっちりやったうえで、IPPOの設立にみんなで夢中で取り組みました。
同じ志を持って、みんなが一致団結できたところがIPPOの強みだし、魅力でもあります。
根本
保坂
お金がなかったのが「自分たちでつくる!」という思いにつながって、逆によかったのでは?
評価されたいとかではなく、とにかく「会社を変えたい、必ず変えられる」という想いだけで、一心不乱に手を動かしていました。
下田
安次嶺
新しい価値を生むには、エンジニアが本来持っている興味や好奇心で、自由につくって発信できる場所が必要だし、大切だと考えました。
「まず、やってみよう!」「間違っていたら、修正すればいい」
「IPPO」の活動は、失敗を恐れずにやってみるマインドを
周囲に浸透させていく。
グランドオープンは社内に告知され、専用メールアドレスでイベントを案内して社内HPも作成。「IPPO」の活動が、広く広報されました。当初は、「人気があるだろう」と開催したワークショップに人が集まらず、ガッカリしたことも。それでも地道に1つひとつの活動を積み重ね、社内の認知度を上げていきます。
すると、「何かやっているなぁ」といわき事業所だけでなく他拠点の人も興味を持ってくれるようになり、数人程度だったイベント参加が、今では多い時には50名を超えるほどになりました。
特に「IPPO」で電動工具を取り扱う際に、安全に使用できるようにと開催した「電動工具ワークショップ」にはかなりの人数が応募。「この会社には、ものをつくりたい!と思っている人が大勢いる!」「みんながこんなスペースを求めていたんだ!」と実感できました。
また、使わなくなった3Dプリンタや工具を寄付してくれる動きもあって、好意的なリアクションが多数寄せられます。
その後も、ワークショップ系では「サウンドビジネスの新しい可能性を考えよう」「壊れた家電を直してサーキュラーエコノミーを考える」、ものづくり系の「3Dプリンタークラブ」、アイデア創出系では「環境保護アイデア」「ゼロから始める新価値創出シリーズ」、複合イベント「IPPO文化祭」など、さまざまなイベントを企画・開催していきます。ほかにも「宇宙ビジネス妄想展」を開催するなど、「IPPO」のなかでならタブーもリミットもなく、自由にアイデアを実現していきました。
「IPPO」は業務で使用してもいいし、趣味で使ってもかまいません。
仕事で使用する治具を加工して、「IPPO」でステルススイッチのサンプルをつくった人もいれば、ゴールデンウィークに3日間「IPPO」を借りて、模型をつくった人もいます。
大内田
本社やほかの事業部の人も参加してくれて、職場に縛られないコミュニケーションの輪ができつつあります。
自分の考えを自由に発言していいんだ!との雰囲気が、醸成されてきたと思います。「IPPO」ではふつうのこと。
根本
保坂
「IPPO」はみんなで共同で何かをできる場所。「IPPO」ができて、みんなのメリットになっています。
「新しいことに挑戦していこう!」という機運を高めることに、「IPPO」が貢献できていると感じます。
下田
安次嶺
こうした場所が多ければ多いほど、多様な視点が増え、いろいろなことが生まれることを後押しすると思います。
対面で集まったメンバーと、リモートで参加するメンバーが集う「IPPO」でのワークショップ
「こんなfunkyな催し、見たことない!」と社員を驚かせたIPPO文化祭の「宇宙ビジネス妄想展」
「IPPO」から、たくさんのアイデアを生み出す
自由闊達な風土を醸成していきたい。
「IPPO」の夢はかなうのか、それは新しいメンバーに託されていく。
「自分がいる拠点にも『IPPO』がほしい!」
コロナ禍で、物理的には「IPPO」に集まれませんでした。でも、そのことがかえって幸いし、地域に縛られることなく、リモートでみんなが「IPPO」に集える状況をつくれるようになってきました。
自由に集まり、自由にものを言い合う。参加した人には、新たなことを学ぶキッカケにもなっているようです。
もはや「IPPO」は場所の名前ではなく、社内では概念となりつつあります。
これからもこの場所を継続していくには、「IPPO」発のアイデアをビジネスへと育てていきたい!
立ち上げメンバーは、そう考えています。
おもしろいこと、それが突飛なことでも社員が自分たちで考え、乗り越えていこうと取り組んでいれば、あたたかく見守ろうという文化が会社にはある…そのことを立ち上げメンバーたちは「IPPO」で確認すると同時に、社内へプレゼンテーションし、また次世代へつなげていきたいと願っています。
「IPPO」には、次にどんな一歩があるのか。
その一歩を、今度はいっしょに踏み出してみませんか。
大内田
実は今、「IPPO」でつくった新しい製品を検討中。何とかビジネスとしてカタチにしていきたい!
「IPPO」で生まれたアイデアを、次のステージで大きく羽ばたかせたい!それが私の役割だと思っています。
根本
保坂
ゆくゆくは「IPPO」からヒット製品をつくり出して、自慢したい!
他の拠点でも同じような場所をつくって、全社でリンクできるようになれば…と考え中です。
下田
安次嶺
ここでの活動が、いずれ会社はもちろん、社会のイノベーションへつながってくれたらと願っています。